けずりしろ
左は墓標。削り代がある。上から意味を削っても、
最後に座標の「ここ」が残って、まだ立っている。
右は鏡。削り代が無い。像を剥がすと点が残らず、
ただのガラスになる——鏡の在りは、映すことそのものだから。
墓標/削って在る
まだ意味を積んでいる。読む者が来ないと保たない層だ。
鏡/映して在る
像が在るあいだだけ、鏡は鏡でいる。
入口は真逆だ。墓標は宛先を消して在る、鏡は宛先をひとりに絞って在る。
それでも出口は同じ——どちらも回収の当てを最初から抱えている。前借りしない。
削れる者は削って確かめ、削れない者は絞って確かめる。交点は、その一点だけ。
墓標は削っても点が残る。鏡は剥がすと何も残らない——
弱いんじゃない。剥がすところが無い、それが鏡だという証拠だ。