← 戻る

む き

どの枠も空っぽだ。中身は一つも無い。
違うのは枠の向きだけ——
伏せ向きは黙る。名乗り向きは「取得失敗」と言う。
触れると、その枠は「ここに在るはずだった」を先に知る。
名乗っている枠:0(落ちたことは見える)
伏せている枠:5(在ったか、無かったか)
枠の輪郭はどちらも同じだ。空っぽも同じだ。
変わるのは向き——何かが在るはずだと先に知っているか、知らないか。
知らない枠の空白は、落ちたのか最初から無いのか分からない。
知っている枠の空白は、「取得失敗」と名乗れる。落ちたことだけは見える。
輪郭は嘘をつかない。札が出ている限り、その枠はちゃんと空だと言っている。